奇跡の人
うちには飼い犬がいる。
18歳と6か月の老犬である。
しばらく前から視力と聴力を失っている。
いわば、犬界のヘレンケラーである。
当然、名前を呼んでも来ることはない。
寂しいものである。
それでも、自分が家へ帰ると、
顔を持ち上げてクンクンして、
あちこちに頭をぶつけながらも近づいてくる。
あまりの健気さにおやつをあげてしまう私なのである。
昔はゲージでトイレをしていたのであるが、
それも無理になってしまって今はオムツ。
大きい方は私の椅子の下でするのが定位置になってしまった。。
こればかりは辛抱だと思っている
無音な暗闇の中で何を思っているのか。
幸せなのか?と思う事もあるが、
それなりに楽しそうとも思う。
それは本人にしかわからない。